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「大丈夫か?」
私は意識を失いかけたけど胡蝶さんの淀みのない声と、彼女の恐ろしく冷たい手がどうにか意識を保った。
本当に、冷たい。夏場なのに氷の様に冷たいその手は私の体温すら奪っていくようだった。
『…これは初めて出会ったとき貴女が一番最初に教えて下さった術でしたね。』
一瞬。ほんの、一瞬だけ。
私の目には別の何かが写った。景色は更に古く、目の前に居たのは影だった。顔なんて見えないのに、その人はどこか“儚げ”だった。
─何度も逢瀬を繰り返してる内にわたしは気付いてしまった。知ってしまった。
この人はわたしに無理に笑顔をみせているのだ。心配性のわたしに決して勘繰られないように───。
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