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スッキリしない朝だった。変な夢を見た。
内容はいまいち覚えていないけれど、どこか近いような遠いような所から歌が聞こえた。その歌を聴いてると、なんだか悲しくなってきてどこへ逃げてもその歌は追いかけてきた。
「光助(コウスケ)。早く起きなさい」
居間から母さんの声がする。
私はのっそりと布団から起き上がり着替え始めた。
「着替え終わりました。母さん。」
「本当に昔から何をやらせてもあなたはノロマね。時逆(トキサカ)家の跡を継ぐのだから少しはキビキビと動きなさいな。」
「…………すいません。」
この人は時逆 静(トキサカ シズル)。この時逆村の村長の一人娘であり、私の母である。中々厳しい人だ。
そして私は時逆 光助(トキサカ コウスケ)。静の長男で現在高校2年生、16歳。一人称が私なのは祖父譲りだから気にしないで欲しい。
これといった特技もなく、母さん曰くノロマだ。親族の間でも弟の遥(ハルカ)に村を継がせた方がいいんじゃないかと囁く声が聞こえる。
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