第一章

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無い物ねだりをするつもりはない。どんなに頑張った所で失敗に終わってしまうから。その度に母さんの関心は薄れていってしまうから。 私は私の出来ることをすればいい。そう思っている。 朝食を済まし、外へ出た。宿題は終わらせてあるから散歩をする。 夏の陽射しは肌をヒリヒリと痛めつける。蝉の声が煩わしい。 畔道を通りながら、都会と違い地面がアスファルトじゃないのが救いだと思った。何度か都会に行った事はあるが、私は都会が好きじゃない。ジャングルのような街並み、人々の雑踏。何かしらの野望を持ち他人を蹴落とす事もいとわない彼らの目は正しく悪魔のようだった。 そうこうしてる内に目的の河川敷へついた。 「っ!!!!!!」 河川敷に近付いた途端、私は悪寒がした。冷や汗が止まらず、少し震えているかもしれない。 どこからか、歌が聞こえるのだ。夢で聴く、あの歌が。 怖い、こわい、恐い、コワイ…。 なぜか私の体を“恐怖”が埋め尽くす。
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