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~プロローグ~
鶴見の中継所に、続々とランナーたちが集結しつつあった。
「先頭は、聖和大、続いて桜渓大、正義館大、陽灯大!」
「少し離れ2位集団!緑園大、頼武大、青峰大!10区走者は用意をしてください!」
中継所のスタッフが、拡声器ごしに叫んでいる。
自校の名前の入ったハチマキを締め直す。大学のイメージカラーと同じ、赤い色をしたハチマキだった。
ゴールには、あの人が待っている。
今なら、もう一度聞けるかもしれない。
あのときの答えを、出してもらおう。
それを、早く聞きたい。
だから、俺はぶっちぎるんだ。
「頑張れよ。」
「おう、…お先!」
青のユニフォームをまとった同じ10区の選手に、声をかけられる。
スタートラインにて、走って来る9区の選手の、苦しそうな表情を見ていた。
「先輩!あと50m!」
拳を振り上げる。
そして1着、2着、3着がほぼ同時にタスキを渡す。
「ラスト、頼むぞ!」
「はいっ!」
秒数にして先頭から1秒差足らずで、タスキを受け取り肩にかけた。
東へ走る。まっすぐに。
ゴールには、あの人が待っている。
あの人がいるだけで、
力が湧いてくる。
きっと言おう。
もう一度、俺から。
破軍の星を、昨日も見た。
俺はきっと勝てる。
早く会いたい。
だから、俺は1番でゴールする。
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