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沖田の秩を抱く腕に再び力がこもる。
その強さに秩が身を捩る。
「何を言って居るんです。絶対に私は秩を離しませんよ。
例え相手が死神だろうと、私から秩を奪う事なんてさせない。
私は、鬼の沖田ですよ」
「総司はん・・・」
酷く泣きだした秩の骨ばった身体を胸に感じながら沖田は心に誓う。
誰にも秩を渡さないと・・・
「秩、先ずは謝らせて下さい。貴女の病に気付かなかった事を。
そして、貴女に相談なくキョウの乳母を連れて来た事を。
お産の後、初めて痩せた秩を見て、私は怖かったんです。
此のままでは秩が居なくなってしまうと思ったんです。
焦りました。先ずは秩の身体を元に戻さなくてはと思いました。
方々手を尽くして、やっと乳母を引き受けてくれる方を見付けたんです。
それがキミさんです」
「そやったん・・・」
「そうですよ。私が秩以外に興味を示すとでも?
だとしたら秩は本物の阿呆です」
穏やかに微笑んだ沖田の顔が酷く眩しい。
「すんまへん。総司はんまで痩せてしもうて・・・」
「ホントです。秩が逢ってくれないから、食事も喉を通りませんでした。
キョウにも逢いたかったし。ゆきだけは顔を見せてくれましたけど、生きた心地がしませんでしたよ」
「ホンマすんまへん」
「もう良いんです。こうしてまた秩を抱く事が出来ましたから」
沖田はそう言って秩の肩口に額を着ける。
「秩、今度は我儘は聞きませんよ。キョウは乳母に任せます。
新三郎さんやトクさんとも話し合ったのですが、乳母にはキョウの授乳が終わるまで子供と一緒に浜崎邸に住み込んでもらいます。
ですから授乳のときだけ秩とキョウは離れるだけです。
勿論私も時間の許す限り秩と子供達に逢いに来ます。
寂しい思いはさせませんから、良いですね?」
頷いた秩に沖田はそっと口付けすると、身体を横たえさせる。
「今夜は添い寝してあげます。ゆっくり眠ってくださいね」
そのすぐ後、沖田の安心したような小さな寝息が聞こえた。
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