序章

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ー…兄さん…っー いつから、この国はねじ曲がってしまったのだろうか。 いつから、この国は狂ってしまったのだろうか。 いつから、この世界は、こんなにも息苦しい腐った世界になったのだろうか…。 「…貴様の血は、汚れた血が多く流れる、穢れたものである!」 ハッと顔を上げると、黒髪ー兄さんがこちらを見ていた。 目の前の戸は、少ししか開いていない。 しかし、兄さんにはそれだけで十分だったのだろう。 ー兄さんには、自分のグシャグシャな泣き顔しか見えてないというのにー にこりと微笑んでいる唇が、ゆっくりと動いた。 「よって、只今をもって!」 ガシャリと、音がたつ。 ー愛…してる…ー 「魔族狩りを執行するっ!!」 ー生きろ、真麒(マキ)ー ー兄さん、逃げてえぇええ!!ー その時、重たい音が、心を引き裂いた。 .
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