第1章 リアル・ジャスティス

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そんな『城』を、ジッと見てはブツブツとつぶやく俺も、端から見たら気持ち悪いのだろうが。 気にしてはいない。 どうせ、誰にも俺の姿は「視えて」いないのだから。 それに見えたとしても、俺の脚についてはこれないしな。 粗方見て、俺は"前脚"と"後ろ脚"で、空中を蹴った。 そのまま、強い追い風が吹いている場所まで駆け上がる。 風に乗ってしまえば、後は風に身を任せ…だ。 空は晴天で、暑くなく寒くもない、良い気候が続いている最高の日。 本当なら、風が続く限り駆けていたいものだが、仕事中である。 自らの欲求を押さえつける。 黒く荒んだ廃工場が眼下に見え、俺はそこへ向かうように体を傾けた。
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