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 ――――――  高校2年の夏休み。  それはあまりにも速いスピードで訪れた。受験から一切解放されて、高校生として最高に満喫できるだろう2年の夏。  進級して新しいクラスになったのに、担任は相変わらずの緩いあの人で、同じクラスには真理亜だけでなくモッカまで増えて賑やかだった。  「ねぇ今年もプール行く?」  「う……ぷ、プール」  「池波、いい加減慣れろよ。お前ほんと面白いなー」  水着を着なければ、ということに抵抗を示す私とは裏腹に、モッカと真理亜はすでに行く気満々の顔をしている。  聡先輩が3月に卒業して新生徒会の顔ぶれは少し変わった。  生徒会長にはモッカが、副会長には真理亜と隣のクラスの吉井武久(よしいたけひさ)くん。私は変わらず書記を担当して、会計には1年生の工藤颯太(くどうそうた)くんが来た。他にもいるけれど、メインで動いているのはこの5人の場合が多い。  今日は1学期最後の生徒会と言うことで、各クラスの委員長を集めての全体集会を行うことになっていて、今は集まる前の生徒会室で私たちはダラダラと喋っていた。  「コトはいつまでも初心(うぶ)なところがいいのっ」  「う、うぶって!」  真理亜の言い方がなんだかいやらしくて、ついつい赤くなる。それを早速夏休みの宿題に取り掛かっていた工藤君が、顔も上げずに指摘してきた。
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