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「そんなの、真理亜には私の気持ちなんて分かんないじゃん」
「コト……」
「――ごめん、今のナシ」
垂れそうなアイスに齧り付くと、口の中でパチパチとまた弾ける。気持ちとは裏腹に元気すぎるアイスクリームに少し苛立ちながら、もう一口食べてコーンに巻かれた紙を剥いだ。
「うん。私も、ごめん」
私のせいで悪くない真理亜が謝る。それも心苦しいのに、何にも言葉が出ない。お互い無言のままコーンを食べて、最後の先っぽをバリバリ音を立てながら噛み砕いた。
無言過ぎて、響く音が余計に二人の間の沈黙を感じる。
手持ち無沙汰になって、いつもみたいに剥いだ紙を折りたたんでいたら、向かいの椅子で真理亜も同じことをしているのが分かった。
「ぶふっ。コト、癖感染(うつ)っちゃったね」
「えー、私が元々してたんだってばー」
「そうだった?」
視線を上げて目が合うと、2人でふふふって笑った。それだけで私と真理亜のわだかまりは解消する。
「真理亜」
「ん?」
「私、ダメなのかな」
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