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 見つめた、というよりはぼんやり見てたって感じなんだけど……しばらくして、バッと顔を上げた工藤君に『見物料、頂きますよ』なんて脅されて、慌てて視線を逸らした。  ――やっぱり、私には冷たい。  それもこれも今日で一先ず最後。打ち解けられない残念さはあるものの、私は熱い頬をぺたりと机にくっ付けて窓の外に広がる空を見つめた。  ――ちぃくんにも、会えるかなぁ……  私の頭の中は、暇さえあればちぃくんで。  それは出会って1年半経った今も、ちっとも変わっていなかった。  ――――――  「しかし、今年の夏は忙しくなるねー」  帰り道、すっかりお馴染みになったアイスクリームショップに立ち寄って、真理亜と向かい合わせに座りながらスプラッシュマウンテンなんて激しい名前のアイスに齧り付いた。  口の中で何かがパチパチ弾けて、小さく音を立てている……何これ、強烈なアイス。  なんて思っていたら、真理亜にパチンと音を立てて両手を合わせられ、驚いて顔を上げた。  「コト、聞いてるの!?」  「え? あ、いや……うん。聞いてる、よ?」  口の中をパチパチ言わせながら、締まり切らない返事をすると、ジト目で睨まれる。
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