復讐の果てに

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「しかし、不便な世の中になったもんだ」 牙から真っ赤な血を滴らせながら、フィリップが呟いた。 「どういう意味だい?」 私は自分のグラスに手をかける。 「昔は、好きなときに狩り、好きなときに好きなものを食えた。だが、今はどうだ? コミュニティなんてものができて、狩場も狩る数も制限されている。全くつまらねぇ!」 そう言って、口からプッとウサギの小骨を吐き出した。 「だが、そのコミュニティがなかったら私たち種族はとっくに絶滅していたと思うがね」 フィリップの言うとおり、好きなものを好きなだけ狩って食っていたら、今頃は人間たちに追い詰められ、我々ワーウルフは根絶やしにされていただろう。 それを防ぐために、ワーウルフたちはコミュニティを作り、生き残るためのルールを自分たちに課したのだ。
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