26人が本棚に入れています
本棚に追加
「けっ! コミュニティなんぞ、糞食らえだ!」
ウサギの足を、乱暴に食いちぎりながらフィリップは続けた。
「コミュニティのやつらのお陰で、もうここ何年も人間の肉を食ってねぇ」
その言葉に、私の心臓がドクッと反応する。
「その言い方だと、まるで何年か前に人間を食したことがあるみたいだな」
コミュニティが発足したのは約100年前。その時から、人間を襲うことは禁止されているはずだ。
「ああ、あるぜ。要は、コミュニティにバレなきゃいいんだ。あれは3年くらい前だっけな? そいつは10歳にも満たない女のガキでよ。たまらなかったぜぇ……」
ウサギを食べ終えたばかりだというのに、フィリップは恍惚の表情を浮かべながら、涎を垂らしている。
「……その少女はどこで?」
私は無意識に首から下げたロケットを握りしめ、心の奥底から込み上げてくるそれを必死に抑えながら訊いた。
最初のコメントを投稿しよう!