復讐の果てに

「復讐？　おいおい、何の冗談だ？」

フィリップはそう言いながら、長い爪で牙に挟まった肉片を取り除いていた。

「私の娘は3年前、10番街の裏路地で殺された。当時、9歳だった」

フィリップは聞こえているのかいないのか、無言で牙の掃除をしている。

「野犬に襲われて死んだ……。そう聞かされていたが、後から不思議なことが発覚する。傷は、明らかに獣による噛み痕なのに、そこから人間の唾液が検出されたそうだ」

「で、ワーウルフに殺されたと推測したわけか」

そう言いながら、フィリップはゆっくりと立ち上がった。