第1話

８月29日

肺を患っているわけでは無いが、喉に痰が詰まるというのはしょっちゅうなので、従って咳もしょっちゅうしている。

一番つらいと思ったのは朝の咳で、痰が出るまでおさまらないのはいつものことだが、寝起きの水分不足の時分には痰も水分不足と見えて、どんなにゲホゴホやろうと一向に出てくる気配がない。乾いてはりついているのだ。

水さえ飲めば、喉元を過ぎる際に勝手に痰を潤してくれるのだが、咳の最中に水を飲むというのもまた随分苦労の要ることである。そうして格闘を終える頃には30分以上かかっていたというのも、わたしがどんくさいだけが理由ではないように感じられる。