3.㌣アンダーシティ・ボーイズ

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「で、何で僕がわざわざ来てやったのか果たして分かるかな?咲良」 鼻先に指を突きつけられ、咲良は返答に困った。 桃井の表情からするに、怒っているのだろうか? さっさと帰ってしまったからか? 文句を言いに......、来たとか。 それっぽいな。 いや、それしか思いつかない。 「うん、全然違うね」 「え」 咲良はたじろいだ。 読心術?もしくは超能力か? 桃井は呆れたように肩を竦める。 「いや、あんた考えてることが顔に出過ぎだから。よく言われない?」 「う......、言われます」 たしか孝次郎にも言われた。 しかし、ほぼ初対面の人間に指摘される程、恥ずかしいのはこの上ない。 咲良が真っ赤になっていると、桃井はぷっと吹き出して、抱えていた袋を咲良に押し付けた。 「あんたの制服。保健室に脱ぎっぱなしだったの、洗っておいたから」 少し咲良の顔から視線をずらし、髪の毛を掻き乱しながら早口に言う。 そういえば、保健室に置いてある予備の着替えを借りたんだった。 忘れて出て来たのを、桃井はわざわざ届けに来てくれたのだ。しかも、洗濯までして。 ちらちらと横目で様子を見てくる桃井に、思ったことを言ってみる。 「照れ隠しですか?」 「殺すよ」 すると一瞬のうちに胸元を突き上げられ、鬼の形相で睨まれた。 下からの威圧が、半端ない。 「ごごごごめんなさい!許して下さい!」 「ふん、ビビリのくせに。二度とふざけたこと言うんじゃないよ」 ぱっと手を離され、咲良は床に思いきり尻餅をついた。 じんじんと痛む尻を擦っていると、桃井は冷たく見下ろして言った。 「まあいいや。そんなことより......、聞きたいことがあるんだけど」 「な、なんですか......?」 桃井の顔色を窺いながら聞いてみる。 桃井は、顎に手を当ててしばらく考え込んだ後、少しためらいがちに言った。 「ちゃんと会長と仲直り出来たの」 「......え?」 息が、止まった。
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