32人が本棚に入れています
本棚に追加
「んっ......!」
顔をくるりと振り向かされ、
キスされる。
柔らかい舌先が唇を割り、ふわりと浮いた歯の向こうになだれ込んだ。
可愛くないセカンド・キス。
それでも 甘く 甘く
甘いだけの深い口づけに
咲良は間もなく、溺れてしまった。
(息が、苦しい。)
上顎から舌の裏、喉の奥。
手の触れない受け身のキスは、
一体、どこまで行くのだろう?
始めに瞳が溶け、次に唇が溶ける。
足が砕け、孝次郎の体にしがみつく。
最後に溶けるのは、
見えないトコロの境界線?
それともこの、 "心" だろうか_____?
閉じた目を薄く開けば、
交わる二人を食い入るように見つめる
桃井が見えたかもしれない。
伝染する欲情。
半分開いた桃井の唇もまた
自分の吐息で濡れていた。
開かれたドアの横
唇を重ねる二つの影に
体を重ねた一つの影。
月の下に照らし出された捕虜達。
犯されているのは、
一体、誰なんだろう_____?
最初のコメントを投稿しよう!