3.㌣アンダーシティ・ボーイズ

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どのくらいの時間が、経ったのかも分からない。 ようやく唇が離れた時、咲良は孝次郎の腕の中で失神してしまった。 孝次郎は僅かに乱れた息を整えながら、口端を上げてくすりと笑う。 「寝ちゃったみたい。」 咲良の頭の上に顎を乗せ、お預けを食らった血濡れの天使に目を向ける。 「可愛いと思いません?」 桃井は無言で微笑み返し、ぱちぱちと乾いた拍手を贈った。 「ふふん、上等の見世物だね」 孝次郎は生乾きの血痕がついた桃井の足下に、ゆっくりと踏み込んだ。 右腕に咲良を抱いたまま、空いている左手で桃井の手を取る。 「それはどうも。 ......でも、他人事じゃあないですよ」 言って指の先にキスを落とす孝次郎に、桃井は眉を潜めた。 孝次郎は顔を上げ、形のいい唇を歪ませる。 桃井は思わず釘付けになった。 咲良を夢中にさせた魅惑の唇。 『んっ......!』 "三つ"の言の葉を塞ぎ 思い通りに操る 悪魔の道具。 肉付きのいい照らしたような桃色に 自然的に上がった口角。 キスされた指が燃えるように熱くなる。 迂闊だった。 この二つの両目が 物欲しそうにその唇を視姦するのを (......やばい。) どうにもこうにも 止められそうにない。
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