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僕は。
浮気なんかしたくない。
もっと君に心奪われていたい。
もっと君に近付いていたい。
君の心とシンクロしていたい。
我儘だって、分かってる。
でも僕ら、あの星を見てた。
僕の心は雲なんかじゃないって
青く広大な空をたゆたっていても
ずっと君に寄り添って離れない
あの白い星でいたいって思うから。
いつかあの藍と茜の狭間を
君と二人でくぐりたいって願うから。
もう一度、僕を見て。
お願いだから、
僕を他の誰かに奪わせないで___。
あの大怪盗は手強くって魅力的すぎて。
雲に溶けかけた僕の心は
簡単に絡め取られて
しまいそうになるの。
君の代わりなんて誰も居やしないのに
あいつはきっと
僕から何もかも
奪い去っていってしまう
そんな気がしてならないの。
終わりない宇宙の独り旅
早く迎えに来てよ、僕の王子様。
......君がいい。
幾千幾万の夜を越えたって
何度流れ星が流れ落ちたって
僕はそう願うことしか
出来ないから___。
「祐の、馬鹿野郎。」
目が熱くなって 視界が滲んだ。
口の端から 情けない声が漏れた。
それでもぎゅっと瞼を閉じながら
必死に伸ばし続けたその手を
誰かが掴んだ。
「何、この手。」
格好つかない正義の味方。
おまけにスペースナビゲーター。
「......篠田、先輩」
色とりどりの花束を抱えた篠田伊織が
数えきれない宇宙銀河を背に立っていた。
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