4.僕と 貴方と 宇宙旅行

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不測の事態に、固まってしまう。 篠田は事も無げに、咲良の手を握った。 「冷たく......はないか。六月だもんね」 「あ、は、はい」 ほんのり色づいた指に手の甲を撫でられて、咲良は真っ赤になりながら、がばっと起き上がった。 篠田が不思議そうに頭を傾けると、夜色をした髪の毛がさらさらと柔い風に揺らいだ。 「綺麗......」 「ん、何?」 「何でもないです」 何言ってんだ、僕。 咲良はぱっと目を逸らして、口元を手で覆った。 篠田がくすりと笑い出す。 「咲良くんて、変な子」 「へ、変......っ!?」 「でも可愛いね」 「可愛いって......。」 天然なのか、この人は。 他意のない言葉を聞いていると 胸の奥がふわふわして落ち着かない。 「ああ、それとさ」 篠田はゆったりとした動作で咲良の横に腰掛けると、また悪戯っぽく笑った。 どきりとする。 「褒めてくれるんなら、目を見てくんなきゃね」 「なっ、ちゃんと聞いてたんじゃないですか!」 「ごめんごめん、怒らないで」 肩を揺らして笑いを噛み殺す篠田。 前言撤回。とんだ食わせものに違いない。 ......それにしてもこの人、誰かに似てる気がする。
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