4.僕と 貴方と 宇宙旅行

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戸惑い? 敵意? 恐れ? いや。 このとき僕の胸にさざ波立てたのは 単なる感動だ___。 心が揺れる。真摯な瞳に。 僕は今 息を止めて 世界で一番綺麗な人を見つめてる。 映画のワンシーンのような 余計な着色料は欠片もなかった。 夜空に透ける黒髪に 宇宙銀河の星が溢れるほどに宿って 涙をこぼすほうき星。 彼は恋敵 分かっていても 思わず守ってあげたくなる、堪らなくなる。 「でもやっぱ、ちょっと、......辛いや。」 ぽろぽろと 震える睫毛の下に伝う雫に 素直に戸惑う細身の身体。 「いつもこんな 泣き虫じゃないんだけど......」 見ていたら 僕は浮気だなんだと あれほど悩んでいた自分を 簡単に忘れてしまった。 「......先輩」 気づけば僕は先輩の腕をぐっと引き寄せて シャツの袖で涙の粒を拭っていた。 「え、と......咲良くん?」 きょとん、目を瞬かせる篠田。 咲良は篠田の抱える花束ごと その身体を腕に閉じ込めた。
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