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「......許して、先輩」
直感的に分かる。
この人もきっと
秘めるように抱き締めてきたんだろう、恋を。
誰も知らない秘密の恋は、甘い。
だけど、寂しい。
そして
同じ相手を見ているからこそ
あいつのことをよく知っているからこそ
人一倍よく理解出来るんだ、その切なさ。
気付かれない 苛立ち。
伝えられない やるせなさ、もどかしさ。
溢れて止まらない『好き』って気持ちが___。
「今だけは、僕をあいつの代わりにして。」
呟いて、咲良は腕に力を込めた。
抱き締めて 隙間ひとつなく身体を寄せて
そのまま溶け合ってしまえばいい。
そしたら
そしたらきっと
孤独に泣いた僕らの星は
もっと白く 明るく 輝ける。
そんな気がする。
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