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端から見れば、
どちらが加害者か見分けがつかない。
いやむしろ、十中八九、篠田の方が悪党に見えると答えるだろう。
隠しきれない悪どいオーラが、体中から滲み出ているようだ。
「でも大丈夫。一ヶ月間、俺が保健室で優しーく、手当てしてあげるから」
篠田は胸の前で指を絡めて、
にやりと微笑んだ。
目を見張る程の美しさは、
かえって不気味としか言いようがない。
「ひ、ひい......っ!」
男子生徒たちは咲良を残して、一目散に逃げ出していった。
この学校には、
暴力的実務を行う委員会があると聞く。
生徒会、風紀委員会に次ぐ第三位。
篠田伊織率いる、
通称、保健委員会。
泣く子も黙る、"偽善"委員会が。
(なんでこう、残念感が拭えないんだろ......)
咲良は制服の袖で涙を拭いながら思った。
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