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提案のように言って渚が白い歯を見せる。
「まあ、慌てなくても近々またヤル事になるよ。キミが『超常』である限りは、ね?」
「…………」
返答しない四方を見て納得したように頷くと、左腕を捉えていた不思議な鎖を渚が回収する。
唸りをあげたそれが渚の右腕を巻き上げた。
「では、これで失礼する。二人とも――またね?」
まるで友人にでもするような挨拶をして。片目を軽くつむった渚が二人を見たままで後退る。
その速い事、速い事。
とても前を向いたまま下がる動きだとは思えない。
あまりにも常識外れな動きにツクモはポカンと口を開けた。その耳に小さくつぶやく声が聞こえる。
「……ふん、まあ、よいか。確かに潮時かもしれん。わらわも少々疲れたし、の……」
その言葉を最後に。立っていたさつきの身体が地面へと崩れた。
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