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「さっきわかったんだよ。さすがの私もコレを相手に縛が切れたうえ、なんの準備もなく闘うのは……危ういって」
微かに鎖を揺らして繋がった先を見た渚がそうつぶやく。
同じタイミングで地面に落ちた名刺をツクモが拾った。
「……ライブハウス輪廻?」
そこに書かれた文字を読み上げた瞬間、彼の前方から嬉しそうな声がした。
「ああ、今、そこが私の根城だ。いつでも来てくれたまえ。キミなら大歓迎さ」
黙って聞いていた四方が一歩前に出て、会話に割って入った。
「ずいぶんかってを並べるのう。素直に、ハイそうですか、とわらわが頷くと思うか?」
「あー、ごめん。そこの心配はまるで、まったく、全然、微塵もしていないんだ。もし、仮に、例えばだけど。このまま続けたとして、ショートカットの娘はどれだけ持つわけ?」
「むっ……」
「顔色が変わったね? 私が退かないならともかく退くと言ってるんだ。キミは憑いたその娘を気遣っている節があるし、私は私でヒトゴロシは領分じゃない……」
「…………」
「……だったら、お互いに退き時っしょ?」
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