ツイてないんだ!

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 男なら誰でも美少女が好きだ。  整った顔、麗しい瞳。はだけた胸元や目を惹きつけてやまない脚線美など犯罪的と言ってもいいだろう。  どこを取っても申し分ない美少女。もし、恋仲というのならムフフな事も許される。  ……そんな妄想で逃げられるなら、あるいは救いもあったかもしれない。 「いや、だけど……」  だからこそ、ごくごく平凡な高校生である、九重(ここのえ)ツクモは懸命だった。 「うん……そんなのはやっぱり夢だよ……」  起こってしまった現実と、悲しいほど薄っぺらな空想をすり替えるべく無駄な努力を続けている。  だが、彼が出逢ってしまった怪異は紛れもなく、疑問の余地すらもないホンモノの怪異。  古びた手鏡をぎゅっと握り締めてツクモが大きなため息をつく。 (……確かに思ったよ? そろそろきちんとしたガールフレンドとか欲しいかもって、さ)  そう、彼はこの夏。いわゆるアバンチュール的な何かを期待していた。 (もちろん、こんなに可愛い娘と出逢って嬉しい気持ちがないと言えば嘘になる……)  だからって。 「物の怪と出逢いたかったわけじゃないし――っ!」
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