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私たちは、玄関に荷物を放り投げたまま、ガラス越しの夜景にしばらく見とれていた。
「ねぇ、今何考えてた?
もしかして同じ事じゃない??」
先に沈黙を破ったのは香織だった。
「えっ?それはもちろん、ヘソンのこと‥
この夜景、ヘソンも見てるのかなぁって、
一緒に見たいなぁってね」
「やっぱり!私も同じ事思ってた!
ミンジュと一緒に見れたら最高なのになぁって!
あー、もう!会いたいよー!!」
夜景に向かって叫んだ香織の気持ちが、私と痛いほど同じで、なんだか日本にいる時より、もっと切ない気持ちになった。
同じソウルにいるのに、こんなに近くにいるのに‥会うことは叶わないなんて。
2人の大きなため息だけが、静まり返った広い部屋に響いた。
「明日、お昼から自由行動だよね?買い物する時間あるね!
気持ち切り替えて明日も楽しもうね!」
「よし!明日は日本で買えない《HEAVEN》グッズいっぱい買うぞー!!」
香織は元気に吠えたけど、
「えっ?買い物ってもしかしてそれ??
グッズもいいけど、少し《HEAVEN》から離れて、純粋に韓国のお土産も見ようよ!」
私は無理にでも、ヘソンのことを頭から消したかった。
思い出すヘソンの姿は、いつも決まって泣き顔だったから‥。
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