12.恋と悲しみの果てに

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ヘソンの携帯電話は、マネージャーのチャンさんが所持している。 私は、チャンさん宛てにメールを送ろうと決意した。 今の私にできることは、これ以上アジアのトップスターに迷惑をかけないこと。 どんなに心が悲鳴を上げてもかまわない。 私が引くことで事態が収まるなら。 今度こそ《HEAVEN》を守れるのなら。 これが1番良い解決法なんだ。 憧れの人に恋をして、それが出会いに変わった日、私は本当の愛を知った。 だけど、想いを貫こうとして、追いかけるだけが愛じゃない。 静かに見守るために、忘れることもひとつの愛なんだ。 私が選んだ道は、あなたを忘れるための愛。 私は、ヘソンに素敵な思い出を沢山もらった。 それだけで、もう十分すぎるくらい幸せだから。 本気で好きになった相手は、住む世界の違う人だっただけ‥。 一般常識が時に通用しない、過酷で熾烈な競争社会に生きる彼。 足の引っ張り合いの中で、日本人の恋人がいるなんて、向こうの世界では致命的なスキャンダル。 ヘソンなら、よくわかってる筈だよね。 別れることが、私たちに残されたたったひとつの選択肢なんだってことを。
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