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気づくと、私の足はゆっくりと公園内に向かって歩き出していた。
一歩ずつ一歩ずつ、ゆっくりと彼の元に近づいて、私はそこで初めて気づいたんだ。
胸を締めつけられるような息苦しさに。
雨で乱れたくせ髪の奥から覗く彼の黒い瞳は、ただ一点を静かに見つめている。
どこか思いつめた様子で、見ているこっちが胸を痛めるほど悲愴だ。
それでも、このまま知らんぷりなんてできない。
唾をごくりと飲んで、勇気を出して声を掛けた。
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