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2時間に及んだライブは、大興奮の中幕を閉じた。
私はあれからずっと、放心状態で目の前のステージを見つめていた。
体はここにあるのに、意識だけはどこか遠くにあるような、そんな夢見心地だった。
ライブ後、私の周りにいたファンたちは、誰々が格好良かったとか、最後のバラードが感動しただとか、興奮状態で話している。
私は、最後にどんなリズムの曲を歌っていたのかさえ全く思い出せない。
気持ちがぐちゃぐちゃで、何も言葉にできなかった。
ただ、ついさっきまで目の前にいた彼の顔だけが、強烈に目に焼き付いて‥。
「ねぇミユ!そろそろうちらも出よっか?
で、ライブは楽しめた?大丈夫だった?
もぅ、私なんて興奮しすぎて鼻血出そうだったよ~(笑)」
香織は満足気に声高に話す。
「‥うん。楽しかったよ‥」
明らかに香織と声のトーンが違うことに、自分でも驚いた。
「もぅミユってばぁ、何切なげに言ってんの!?
あっ、そうだ!
健ちゃんから、終わったら楽屋寄って♪って言われてたんだ!」
「えっ!!??」
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