意地

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「――イチさん?」 返事に困って。 なんて言えばいーんだ、って。 考えていたはずなんだけど。 途中意識が現実と夢の狭間を往き来しはじめて。 ――途切れる。 ああ、そう そんな、怒るなよ。 怒ってるとこ、見たくないんだよ。 怒らせたいわけじゃなくて 笑ってほしくて でも、そんだけ驚異 大切なんだ それを求めて、拒絶されたら、俺、 立ち直る自信、ないから。 ――だから。 ――ーー 目覚めたら、美紗緒が俺をのぞきこんでいて、一瞬何がなんだかわからなくて しばらくして様子を伺ってたら、モゾモゾしはじめた美紗緒の小さな頭に手のひらをのせる ああ、いる ちゃんと。 ここに。
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