意地

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――――ーー 腑抜けになって丸くなってる美紗緒がどうしようもなく可愛くて、 「お前、声。大きい」 「――!」 追い討ちをかけていたぶる。 「イチさん……がっ」 「オレ?」 今更、なんでそんな真っ赤なカオしてんの、って。 まぁ、そのリアクションが見たくてわざと言ってるんだけどね。 「……っ」 「俺のせい?なんで?」 あは。 どびっくりのその表情。 欲しかった表情そのものすぎて、面白すぎる 「なんでもないです」 「言え、って」 そう言って、抱き寄せて抱え込む。 まだ、息が整ってない 俺の、痕。 ――とっくにすぎたチェックアウトの時間 まだこうしてベッドの上で、裸で抱きあって 有意義な時間を過ごしてた――のに、だ。 今度は、携帯が鳴り響く サイドテーブルの上にあった美紗緒の携帯がブルブルと音をたてている 「もう」 とかわけわからんことを言いながら俺様のロングリーチの輪から抜け出そうと手を伸ばすもんだから そうはいくか。 と、 「出なくていー」 美紗緒の身体をがっつりホールド 「なん――じゃ、誰か見るだけ……」 「そんなんもイラネーだろ」 しつこい。 携帯 今、いるか? 「どうせ見なきゃ、しつこいし」 しつこく鳴り響く携帯電話 たしかにしつこくて、 誰だ、一体。 って ムカついて手を伸ばすと、うっせー携帯を手にとった 「……」 手にした携帯を確認して 黙って、静止する 【出野ブチョー】 「……誰ですか?」 「ん、――」 名前の登録が、イマイチ、センスを感じないが なんか、許せるような ――驚異なような。 なんだ、この胸騒ぎは。
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