甘いタイフーン

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「今日は我慢しろ」 「へ?」 ビジネスホテルのカウンター。 予約は二部屋 当然、仕事で領収書落とすから、――で、すよね? って、何が? 「一応な」 何が? ですか? 首を傾げて、チェックインを済ませる エレベーターに移動して 相変わらず、沈黙。 真新しいビジネスホテル。 モダンなシルバーのエレベーターのドアが開いて、そこそここじんまりしたその空間に足を踏み入れる やっぱり、ちょっとまだ緊張。 見上げた、イチさんの顔は、まっすぐ 扉を見ている あは、なんだこれ。 「……あの」 「――明日は」 「へ?」 「公休、だろ。移動込みで」 「あ、……はい」 「明後日は?」 「え、と。……すいません、公休二連続でとってます」 「ふーん」 え……、なに? 「あ――」 その瞬間 扉が開いて。 歩き出す、イチさん 私も後に続いて、自分の部屋の前で立ち止まる イチさんの部屋は隣にあって、奥に立っていたイチさんが 「何やってんの」 「え?」 「そこで」 「あ、――荷物」 「こっちでいいだろ」 ――あ。
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