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白かった画用紙は黒く塗り潰され、白く透き通っていた彼女の手には、べっとりと真っ黒な絵の具が付着していた。
顔にも絵の具が付いている始末。
「あーあ。汚い」
彼女はそう冷たく吐き捨てると、画用紙を丸めてゴミ箱へと投げ捨てる。
そして、絵の具をペロリ。
「今度は、何を壊そうかしら?」
ニヤリと笑った彼女の顔はまるで、何かを見つけた子供のように無邪気だった。
彼女はこれでも、有名な石沢財閥のご令嬢だ。
顔は整っており、肌は白く透き通っている。
桜色の小さな唇。
ぱっちりとした大きな目。
さらさらとした腰まである髪。
そのすべてが完璧だった。
ーー性格を除いては。
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