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九月といっても残暑が未だにとどまる日本。
市の中心部付近に位置するアビリティ名門校・蒼斗アビリティ学園は本日始業式、つまり二学期を迎える。
そんな中、俺こと白神颯呀は闘技場の待合室でベンチに腰かけていた。そしてひとり愚痴る。
「なんで俺たちは始業式に参加せずにこんなとこで待たなきゃならないんだ…。」
「俺はどこでも寝れるから構わねぇけど?」
俺の独り言を違う意味で解釈したのは古賀賢人。頭にはアイマスクが装着されていてもう寝る準備は万端だ。
「俺はそうゆう意味で言ったんじゃねぇんだけど…つーか寝るな!」
「なーに緊張してんだ白神!」
背中に二回痛みが走る。
「って、いてッ!?」
バシバシと俺の背中を叩いてきた少年は桐ヶ谷薫。跳ねに跳ねている髪の毛がチャームポイントなのか直す気配がない。
「私も緊張して震えるよ…」
か細い声が耳に入った。
ベンチに座り肩を抱える少女は桔野花梨。いつもは活発な性格なのだが、どうやら緊張に弱いらしい。
「大丈夫か桔野?」
「今回の試合も団体戦なんでしょ?また私が負けちゃったらどうしよう…」
これは末期だ。どう励ましたらいいものやら。
あいにくこの場に彼女の親友はいない。元気づけるには俺では力不足だ。
代わりに、
「しゃんとしなさいよあんたたち!!」
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