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始業式が始まる前にホームルームがあった。それを終えてから俺たちは闘技場に移動することになっている。
事件はそのホームルームより前に起きた。
「おーす。」
「あっ、おはよー。」
俺と賢人が教室に入り、桔野と挨拶をかわす。いつもどおりの日常だ。
「おはよう、白神君」
「おう、おはよう。」
俺に優しい笑顔を向けてくれたのは我がクラスのアイドル的存在(賢人が言っていた)、蕪木愛だ。
「愛ちゃーん、颯呀にだけぇ?」
「あう、ごめんなさい。おはよう、古賀君。」
「こら、愛を困らせないでよ。」
そんな会話をかわしている中、誰かが教室に飛び込んできた。
「セーフ!!」
桐ヶ谷だ。額から滝のように汗が落ちている。
「何がセーフなんだ?」
「何って白神…あとちょっとで遅刻…」
息切れしながら答える桐ヶ谷に俺たちは顔を見合わせる。
そして賢人が代表して口を開いた。
「あと二十分は余裕あるぞ?」
「なにー!?」
桐ヶ谷は腕時計と教室の掛け時計を見比べ、顔を青ざめる。
「壊れてる…」
あっ、倒れた。
おそらく遅刻ギリギリの時間で腕時計が止まってたんだろうな。ってか普通気づくだろ…。
桐ヶ谷、御愁傷様。
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