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桐ヶ谷を適当に運んで十分後。
「あっ、ヒリアさんおはよー!」
「桔野、すっげぇ耳に響く…」
桔野の大声に鼓膜を痛めながら、扉の方を見る。
「あいかわらずバカでかい声ね…」
ため息をつきながらヒリアが教室に入ってきた。前までは挨拶どころか言葉も返さなかったんだからこれでも丸くなったほうなんだぜ?
ヒリアが教室に入ってから五歩くらい歩いたところで異変に気づいた。
「ヒリア、その後ろの子供なんだ?」
「なんのこと…?」
ヒリアが振り返ったその時、彼女のスカートは両端を掴まれ勢いよく捲りあげられた。
「きゃあッ!?」
「「「白……!!」」」
その場に居合わせた男子の口から洩れる言葉。
ってか桐ヶ谷もちゃっかり見てるし!いつの間に起きた!?
「なんッ…このッ…」
「なはは!!なんや大貴族なくせにちゃっちいもん穿いとるんやな!」
何が起こったかまだ理解できていないヒリアに、その子供は幼い高笑いでけなした。
「なッ…」
ヒリアが石のように固まった。
賢人は動かなくなったヒリアを端によけてその子供を上から見下ろす。
「おうおう、どこの小学生かと思えばA組の富士 明(ふじ あきら)ちゃんじゃないか。今日もそのリーゼントと体がミスマッチだねぇ?」
「なんや、古賀はん。俺の頭にいちゃもんつけるんかいな。自分にはこの髪型のよさがわかる脳みそが足りんみたいやな。頭丸めて出直してきい。」
高低差の激しい火花が散る。成り行きを知らない人が見ると賢人が子供を苛めているようにもとれるな。
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