0人が本棚に入れています
本棚に追加
忘れられない記憶や大切な人
私は何度この季節を
この風景を見たのだろうか
きらびやかに飾られた街は恋人同士が目立つ
あんなもののどこが良いのかなんて、人でない私が知るはずがない、知っても得はしないだろう
寒い季節にしか自由気ままに動けぬ私達、暑い季節は死ぬ者が多いからか
なくすことには慣れてしまった
あぁ今日も誰かが別れた
「そろそろ吹雪でもやってやりたいねぇ…キラキラしすぎて嫌になる」
姉様達が街を見ながら企む、そういえば明日は街に行っていい日だ
昔食べた『けーき』という甘味を買いに行こうか
「初姉様、明日お金をくださいませんか?」
幼子の時から良くしてくれた初姉様に聞いてみたら、形の良い唇で笑みを作った
いいということらしい
初姉様は声が出せぬ代わりに表情が豊かだ
声が出せなくなったのは人に声帯を取られてしまったから
この地域の長である和津音様が過保護になるのもわかる
初姉様は筆と紙を手にとるとさらさらと文字を書いた
最初のコメントを投稿しよう!