第1話

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―デパート内ケーキ屋 「いらっしゃいませー」 明るい声と屈託のない笑顔で対応する茶髪の店員、長身だな…染野芽くらいか? 「…なにがいいんだ?」 様々なけーきがあって迷う… 「…なにかオススメはあるのか?」 「それでしたらチョコはどうすか?」 「!それでいい、買う」 「はーい、家まではどれくらいかかります?」 男の店員が私を見た、家まで…? 「10分くらいだ」 「はーい、…もしかしてカップルですか?」 「ち、違う!幼馴染みだ」 この店員…どうすれば私と染野芽がカップルなのだ、解せぬ凍らせてしまおうか 「じゃあ二人とも独り身かー」 店員がこちらを見る、なんだなんだ、ますます意味が分からないぞ… けーきの入った箱に紙を入れると私に差し出す、受け取った時に指先が触れた 人の体温は初めてだ… 「また来てくださいねー」 染野芽とデパートを出てから指摘された 「…寒くないはずなのに…顔が赤いぞ……」 「赤くなど!」 「…初さんに聞いてみろよ、ガキ」 山に帰ると早速初姉様に聞いた ちなみに染野芽はすでに和津音様の屋敷に戻った ―それはね、一目惚れよ 「一目、惚れ?」 けーきを食べながら初姉様は笑った 書く手は止めずに ―雪女も所詮女、恋はするものよ。聞いた限りでは悪い人ではなさそう、明日九良馬に見てもらいましょう 「…わかりました」 恋、か… でもあの店員ともう少し話してみたかった… やはり恋なのか? END
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