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はてしなく闇に包まれた世界。
二年前、俺たちのいる日常は反転した。
暖かくて平凡な一日は冷たく死と隣り合わせな日々に移り変わった。
地上には多くの魔物と呼ばれる魑魅魍魎が闊歩し、空には3つの月が地上を禍々しく照らすのみ。
人々は恐れ、疲弊し、苦しんでいた。
数多の国が反旗を翻し、多くの騎士団が立ち上がり、名将たちが志半ばで散っていった。
最大勢力だったカーマテッド帝国の皇帝も崩御した上、ワーウルフ族王は消え失せ、最強の武を誇ったエルフ族の覇王でさえ次々と倒れていった。
絶望的な状況の中、4人の『世界によって選定された』人物が世界を救うために登場する。
「じゃあ、行ってくるよ。アレックス。きっとね、世界は救える。絶対に帰ってくるから」
兄ナイト=フォードはそういって魔王征伐へと向かっていった。各国の最後の望みを受けた3人の仲間と3000人の精鋭を連れて。
世界で最高の塔の頂上に現れた超神秘的な光の階段を上り、その先にある魔王ディアーラの居城を攻めあがった。
俺は何も出来なかった。とめることも出来なかった。
そもそも俺はあの兄には実力も勇気も勉強も何もかも敵わなかった。
だからこそ俺は兄が自慢だったのだ。
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