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-それは、急にやってきた。 「俺は姫宮 光(ヒメミヤ ヒカル)だ!! よろしくなっ!!」 黒くてもじゃもじゃな頭に 今時どこで売ってるの?と 聞きたくなるような瓶底眼鏡。 そして部屋に響き渡る大きな声。 突然部屋に入ってきた彼…姫宮くんは 今日から僕の同室者になるらしい、のです。 …え、嘘。 「なぁ!お前の名前は!?」 急な展開に、頭が付いていかない。 同室者なんて聞いてないし まず、その声の大きさを どうにかしてほしい。 そしてその頭は鬘なの? …いやいや、その前に チャイムも鳴らさずに入ってくるなんて 非常識なんじゃ… 若干パニックに陥っていると 痺れを切らしたのか、姫宮くんに 「俺が名前を聞いてるのに 答えないなんて最低だ!!」 と、怒鳴られてしまった。 大きな声を出されるのが苦手な僕は ついビクビクしてしまう。 「…僕は、小日向 苺(コヒナタ イチゴ)です。」 それでも、なんとか勇気を出して 名乗ったら 姫宮くんは、満足そうに笑った。 (前髪で口元しか見えないから よくわからないけれど…) 「おう!苺だな!よろしく!! 親友なんだから、なんでも言ってくれよな!」 …What? 変な声が出なかった自分を 褒めてあげたい。 右手を凄い力で掴まれ 上下にぶんぶんと振られながら 僕は本気で、彼は宇宙人か なにかなのかと疑った。 親友の定義はしらないけれど、 少なくとも僕は 初対面の人間を親友とは呼ばない。 そして嫌がってる人間の手を 無理やり握ったりしない。 (なんだか、苦手なタイプだ…) なんて、そんなことを思っていた僕は、 知る由もなかった。 彼によって 学園の人気者たちが 次々と落とされていくだなんて。 そしてそこに、自分も 巻き込まれることになるなんて… …そうしてこの日、 僕の平凡な日常は 終わりを告げたのだった。
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