きみはひとりじゃないよ

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 正直、安心している自分がちょっと女々しい。ん? 待てよ。 「ってことは、きみは天使のくせに騙したってことか?」 「くせにって、人聞き悪いなあ。それに騙してないし。わたし一度も彼氏だなんて言ってないでしょ」  リエルはしれっとしている。まあ、僕が勝手に誤解していただけなんだけど。なんでだろう。腑に落ちない。 「ふう。これで誤解も解けたし。さ、行こっか」  リエルはバサッと翼を動かした。茜色の空に羽が舞う。  約束した手前、僕は素直に従うつもりだった。けれど、もう未練がないと言えば、嘘になる。もっと別なものを見おさめにしたかった。  そんな思いが行動となって表れたらしく、僕は無意識に抵抗していた。リエルが困った顔で僕を見おろしている。僕も困った。 「しょうがない。ま、誤解を招いたことのお詫びもかねて、見おさめにぴったりなものを見せてあげる」  リエルはそう言って、空いたほうの手を自分の胸の谷間に突っこんだ。まさかお色気! 桃色の光景がちらと脳裏をよぎる。あわてて打ち消す。
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