きみはひとりじゃないよ

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 ハッ。この行動もすべて狙っているんじゃないか。僕は近ごろ疑心暗鬼気味である。だから目をそらし、 「うれしくなんか、ない」  と心にもないことをつぶやく。 「もう。素直じゃないんだから」  でも、そんな僕の心を、リエルは見透かしているようだった。イタズラっぽく僕の頬をつついては、くすくすとのどを鳴らしていたから。横目で見ると、余裕の表情がそこにあった。  悔しくはなかった。むしろ安堵する。もし涙を浮かべて嗚咽をあげていようものなら、僕は後悔しつづけるに違いないのだ。 「あ。そろそろ行かなくちゃ」  なにか思いだしたように、突然リエルは消えてしまった。こんなことが度々ある。  最初のころ、わけもわからず現れて消失するリエルに戸惑っていたが、原因がわかれば、大したことはなかった。リエルは僕以外のやつのところへ行っているのだ。そりゃそうだ。僕のような存在は僕だけじゃない。世界各地にいるのだ。僕だけをかまっているわけにはいかないのだろう。
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