きみはひとりじゃないよ

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「やめろよ! 相手の合意なしで連れて行くのは禁止事項だろ。そう説明してたじゃないか!」 「そうよ。けどね、場合にもよるの、よ!」  負けた。僕の体がふわりと宙に浮いた。車に衝突されて僕が死んだ事故現場からどんどん離れていく。ああ、とうとうこの世から本当にバイバイなんだ。そう思うと、悲しくなって涙がこぼれそうになる。僕は溢れる感情を抑えようと、まぶたをきつく閉じた。もう抵抗する気力は起こらず、僕はリエルにされるがままとなった。 「ほら。目を開けてごらん」  どのくらい宙をただよっていたのかわからない。リエルの声にうながされ、僕はしぶしぶ目を開けた。 「え?」  予想していた光景と別のものが広がっていた。窓の向こうにあったのはファミレス。しかも見覚えがある。そうだ。ここは彼女とよく食事をしていた場所。高校生の懐に親切だねって、彼女は笑っていたっけ。 「あれを見て」
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