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送り提灯
おや、旦那? 旦那じゃねぇですかい? お久しぶりで。
今お帰りですか、こんな時間までご苦労様です。
え? 嫌だなぁ旦那、私ですよ。覚えておられないんで? 今の時代こんな話し方するのは私くらいなもんでしょうに。
ささ、立ち話も何ですから、歩きましょう。実は私も家がこの辺でございまして。と、旦那、大丈夫ですかい。千鳥足じゃないですか。
お、ちょうど良い、あんな所に屋台がありますよ。どうです、あそこで一杯やりませんか? 今日は私が奢りますよ。
よし、そうと決まれば早く行きましょう。あ、そうそう 屋台と言えば「消えずの提灯」って怪談があるんですが 、知ってますかい?
いえいえ、そんなに怖い話じゃありませんよ。屋台はあ るんですが主人がいない、なのに提灯だけは何時までも点いている、ってな話で。
提灯の火を消すと祟られるらしいですが、ええ。
いやぁ良い匂いだ。暖簾も割と立派ですね。これは期待できますよ。
こんばんは、主人はいますか? なんてね 。いえいえ、こちらの話。それじゃ、キツネうどんを二つ。
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