仕事一筋

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ハウスの音楽が流れ、土地柄もあり、青山にあるクラブにはいつも小洒落た人間が集まっていた 私は店の常連客になっていて、いつの間にかスタッフ達とも顔なじみになっていた 「美和、乾杯」 スタッフ達が何かにつけて乾杯をし、タダでショットを飲ませてくれるお陰で、私は猛スピードで酔っ払いに変身する ビートで身体が小さく震えて心臓まで届く振動が心地好く、私は音楽の波に抱きしめられるように昇天していく 何も考えたくなかった マンションに帰って一人になると、孤独感で気が狂いそうになる 余裕のない惨めな自分なんて認めない 私は若くて綺麗で仕事も出来る 子供が何よ 嫁が何よ …………絶対負けないんだから!
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