接触

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残されたメモ 三浦は鼻唄混じりに教室を出ていく。 その間にも女子に手当たり次第声かけてるし。 はー。 ひとつため息をついて渡されたメモを手の中で握り潰す。 うつむくと目にかかる髪を耳にかけて。 ゴミ箱にずぼっと捨てる。 「おはようございます、渡井さん」 は? 誰? と思ったら、席についてる中原の姿。 綺麗な顔で、スッと背筋を伸ばして座ってる。  「おはよう中原」 挨拶されたらちゃんと返す。 普通のことをしたまでなのに。 『渡井さん今度は中原君狙ってるんだ』 『似合わないよ。』 『っていうか中原君が相手にしないでしょ』 『だよねー』 別に狙ってないし。 本当に疲れる。 気づけばくるくると指に髪を巻き付けていて。 最悪 ちょっと癖ついちゃった。 耳にかけて。 癖をごまかす。 「おはようカリア」 「おはよ」 「見てたよー?」 「何を?」
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