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「まったく、ちょっとは静かにできないんですか?めんどくさいんですよ」
男がグシャグシャと頭を掻きながら喋る。
「ホントですよ!ちょっとは静かにできないんですか!?めんどくさいんですよ!」
女の子の方が机をバンと叩いて怒鳴る。
『ちょっとは━━』のとこから男とまったく同じこと喋ってるけど。
「いやいや、こっちは軽く拷問まがいのことを受けてるんすよ。静かにいれるわけがないでしょう」
「『拷問まがい』ではありません。『拷問』です」
「んなことは聴いてねぇ!その前に拷問だったの!?これ!?」
「そうですよ!『拷問まがい』じゃないんですよ!?『拷問』なんですよ!?」
「だから一度言ったことをリピートしてんじゃねぇ!」
なんなんだコイツら!?
おちょくってんのか?
「まったく、このままじゃ埒があきませんね……」
そう言うと、男は軽く溜め息をついて俺と向かい合わせになるようにして椅子に座った。
そして、じっと俺の方を見る。
「な、なんですか?」
「本当はもう少しゆっくりするつもりだったんですが、貴方の相手をするのはめんどくさいので手短にさせていただきます」
「あーはいはい、そうですか」
俺もアンタを見てるとイライラしてくるよ。
でも言うとまたややこしいことになりそうなんでここは我慢。
それにしても、一体何を手短にするんだろうか。
「単刀直入に言います、寺尾裕司さん。貴方は残念ながらお亡くなりになりました」
……は?
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