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『ゆーくん、ほんとにいっちゃうの……?』
あら?今度はどういう状況?
何故かさっき後ろにいたのんちゃんが目の前にいるしその彼女の隣にも俺の隣にも両親とおぼしき人が立ってるし。
何より、のんちゃんが今にも泣き出しそうなのが非常に気になる。
そういえばさっきのケンカはどうなったの!?
あのクソガキどもはどうなったの!?
『ごめんねのんちゃん。なかなか言い出せなかったんだ……』
あーあー、また勝手に話が進んでるよ。
なんとかなんないのかこのシステムは。
っていうか何を言い出せなかったんだ?
『ひどいよ……引っ越しなんて……』
なるほど、引っ越しね。
たしかに、仲の良い友達が遠くに引っ越すのってかなり辛いよな。
『ひどいよ……ひどいよ……!うわぁぁん!!』
げっ!
遂にのんちゃんは大声で泣き始めてしまった。
えーっと……どうすりゃいいの?
『さあ祐司、そろそろ行くぞ』
不意に父親であろう男性に両肩を掴まれ、歩くよう促される。
『い、いやだ!ゆーくん!やめて!はなして!』
のんちゃんは俺に駆け寄ろうとするが彼女の父親に腕をがっちりホールドされて身動きがとれない。
彼女の瞳からは大粒の涙が溢れ続けている。
『おねがい……行かないで……』
そして泣きながらその場に崩れ落ちた。
『さようなら、のんちゃん……』
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