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女の子のほうを見てみると、頭を押さえていた時よりもよっぽど辛そうな表情をしている。
え、俺、なんかした……?
「あ、あの、お兄様?今なんと……?」
「え?だから、見知……」
「……ぐすっ」
だめだ!
とても言えねえ!
『見知らぬ女の子に手刀してしまいましたすいません』なんてとても言えねえ!
そうこうしている間に女の子の顔はどんどん暗く、どんどん泣きそうになっていく。
考えろ、考えるんだ!
この窮地を乗り切る何かいい方法を!
なんでもいい!なんでもいいんだ!
えっと、お兄様お兄様……そうか!
「あはははは!冗談だよ、我が妹よ!」
「……ぐすっ、本当ですか?」
よかったー!!
妹だった!
「よかったです。まさかお兄様が私を━━南朋(なお)のことをお忘れになったのではないかと思って……」
忘れてたのではありません、単純に知らなかったんです。
にしても……南朋か。
銀髪のショートカットでやや垂れ目。
やばい、可愛い……。
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