第二章(異世界へ)

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レナン:かなり、長い通路ですね。何処まで続いているんだろう? マオ:そうね。そろそろ、奥に着いても良い頃なのに…。 2人は、そんな話しをしながらも周囲に気を配っていた。やがて通路の先に、チラチラと灯りらしきものが見えてきた。 レナン:あっ、灯りだ!マオさん、もうすぐですよ! マオ:やっと、ゴールってわけね! 2人は、長い長い通路をやっと抜ける事が出来た。通路を抜けた先そこは、さっきのより広い広場になっていた。そこは、幾つかの松明が灯っており明るかった。中央に、祭壇らしき物がある。何かの儀式を行う所の様だ。レナンは、周りを見回した。何かが、いる気配は無かった。マオも注意深く、辺りを見回すが何も出て来なかった。 レナン:ゴブリン達は、何処へ行ったんでしょう? マオ:そうね。さっき、倒したので全部って事は無いと思うんだけど…。 その時だった。「キキーッ」ゴブリンの声が聞こえた。2人は、咄嗟に近くの柱の陰に身を隠した。しばらくすると、奥から何体かのゴブリン達が出て来た。そして、祭壇の前に並んだ。2人は、息を殺しながら様子を見ていた。1体のゴブリンが祭壇の前に立ち、何か言っている。さしずめ、司祭といったところだろう。 マオ:何を、しているのかしら? レナン:何かの、儀式みたいですね。 小声で、囁き合う2人。ゴブリン達は、まだレナン達に気が付かない。しばらくすると、何体かのゴブリン達がレナン達が倒したゴブリンの死体を運んで来た。どうやら、葬式の様だった。 マオ:ああやって、死んだ仲間を弔っているのね。 レナン:葬式をするなんて、まるで人間みたいですね。 マオ:魔物でも、仲間の死を悼む心があるのね…。 また、何体かのゴブリンが死体を運んで来た。次々と、死体が運び込まれて来る。そして、祭壇の横に積み上げていく。やがて、祭壇の横は死体の山になった。全て、レナン達が倒したゴブリン達である。2人は、複雑な気持ちになった。祭壇の前のゴブリンが、振り向いて何か言ったが2人には聞き取れなかった。すると、祭壇の前のゴブリン達が次々と、ひざまずきだした。そして、何やら呟いている。祭壇の前のゴブリンは、祭壇の方を向き両手を高く上げて何か言い始めた。大きな声だったが、2人には意味が分からなかった。きっと、ゴブリン達の言葉なのだろう。
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